原料高時代のコスト削減対策|プラスチック粉砕機の仕組みと活用方法を解説
目次
プラスチック粉砕機とは射出成形・押出成形・ブロー成形など、あらゆる樹脂加工の現場では、成形時に必ず「スプルー・ランナー」「端材」「試作失敗品」が発生します。これらを細かく粉砕し、再利用しやすい状態に加工する機械です。
これまでこれらは産業廃棄物として処分されることが多かったのですが、プラスチック粉砕機を導入することで、その場で粉砕し、再生原料として再利用することが可能になります。原料価格が高騰している現在、端材・失敗品を「廃棄」から「資源」に変えることが、製造業の収益改善につながります。このブログでは、プラスチック粉砕機の基礎的な知識から実用においてどのように検討すればよいかを解説していきます。
プラスチック粉砕機とは
プラスチック粉砕機とは、成形後に発生した樹脂くず・端材・不良品などを細かく粉砕し、再利用可能な粉砕材に加工する機械です。
粉砕された粉砕材は、バージン原料(新品のペレット)に一定割合で混合して再度成形機に投入できます。これにより原料の無駄の削減を実現できます。
プラスチック粉砕機が必要な理由
原油不足・原料高騰への対策
近年の地政学リスクやエネルギー価格の変動により、プラスチック原料価格は高止まりの状態が続いています。プラスチック粉砕機を導入すれば、発生した端材・失敗品を原料として再利用でき、バージン原料の購入量を削減できます。
廃棄物処理コストの削減
産業廃棄物として樹脂くずを処分するには、産業廃棄物管理票・収集運搬費・処分費が必要です。粉砕機を導入すれば廃棄量そのものが減り、廃棄物処理コストを直接削減できます。
品質管理の向上
失敗品をすぐに粉砕して再利用する仕組みを作ることで、不良品が社外へ流出するリスクを減らし、品質管理の強化につながります。
粉砕工程に必要な周辺設備
プラスチック粉砕機単体では完結しない場合があります。材料や用途によっては、以下の設備を組み合わせる場合があります。
乾燥機(除湿乾燥機・ホッパードライヤー)
なぜ必要か:PETやナイロン、PCなどの樹脂は空気中の水分を吸収しやすい性質があります。特に粉砕材は細かくなっているため、水分を吸いやすくなります。
水分を含んだまま成形機に投入すると、製品に気泡や筋状の模様が発生したり、強度が低下したりする原因になります。そのため、粉砕材を再利用する際は、乾燥機で十分に水分を取り除いてから使用することが重要です。
金属検出機・磁選機
異物(金型の欠けた破片・ボルト類)が混入したまま粉砕すると、粉砕刃を損傷させたり、成形機スクリューに悪影響を及ぼします。粉砕前の金属検出・除去は設備保護の観点から重要です。
ふるい機・風力選別機
粉砕後の粉砕材は粒度がバラつくことがあります。粒度を均一化することで、成形機への供給量が安定し、成形品の品質ばらつきを抑えることができます。
集塵機(ダストコレクター)
粉砕時に発生する微粉・粉塵を回収します。作業環境の改善(粉塵対策)および製品への微粉混入防止のために必要です。
輸送装置(空気輸送・スクリューコンベア)
粉砕されたリグラインドを、成形機のホッパーまで自動搬送するための設備です。手作業での搬送は労務コストがかかるため、ライン化の際はあわせて検討します。
プラスチック粉砕機の種類と選び方
クラッシャー
クラッシャーは高速回転する刃によってプラスチックを細かく粉砕する機械です。ランナー、ゲート、不良品、端材など比較的小型の樹脂製品の処理に適しています。粉砕後は数ミリ程度の粒状になり、再生原料として利用できます。PP、PE、ABS、PC、POMなど幅広い樹脂に対応しています。
シュレッダー
シュレッダーは低速・高トルクで材料を引き裂くように破砕する機械です。プラスチックパレット、ドラム缶、コンテナ、自動車部品など、大型のプラスチック製品の処理に適しています。主に後工程のクラッシャーへ投入するための前処理として使用されます。
パルベライザー
パルベライザーはプラスチックを粉末状まで微粉砕する機械です。一般的な粉砕機では対応できない細かな粒度が必要な場合に使用されます。主にPE、PVC、EVAなどを対象としており、回転成形やコンパウンド原料の製造工程で利用されます。
選定の5つのポイント
1. 処理する材料の種類・形状
プラスチックの種類や形状によって、適した粉砕機は異なります。例えば、PPやPEのような比較的柔らかい樹脂と、PCやPOMのような硬い樹脂では必要な刃の仕様が変わります。また、ランナーや不良品のような小型の材料と、パレットや大型成形品では適した機種が異なります。まずは「何を粉砕するのか」を明確にすることが重要です。
2. 処理量(kg/h)
1日にどれくらいの端材や不良品が発生するのかを把握し、それに見合った処理能力を持つ機種を選びます。処理能力が不足すると材料が溜まり、生産効率が低下する原因になります。将来的な生産量の増加も考慮し、余裕を持った能力の機種を選定することが推奨されます。
3. 粉砕後の粒度(スクリーンサイズ)
粉砕した材料を再び成形原料として使用する場合は、粒度を揃えることが重要です。粒が大きすぎたり小さすぎたりすると、成形機への供給が不安定になり、品質に影響する場合があります。そのため、再利用する用途に合わせて適切なスクリーンサイズを選ぶ必要があります。
4. 発熱対策
粉砕時には刃と材料の摩擦によって熱が発生します。特に熱に弱い樹脂では、発熱によって変色や品質低下が起こることがあります。そのため、処理する材料によっては空冷機能や水冷機能を備えた機種を検討することが重要です。
5. メンテナンス性・刃の交換コスト
粉砕刃は使用するにつれて摩耗するため、定期的なメンテナンスが必要です。刃の交換や清掃がしやすい機種は、停止時間を短縮できるため運用効率の向上につながります。また、交換部品の価格や入手のしやすさも、長期的な運用コストを左右する重要なポイントです。
まとめ
プラスチック粉砕機は、成形工程で発生するランナーや端材、不良品を粉砕し、再利用可能な原料へ加工する設備です。原料費や廃棄物処理コストの削減につながるほか、不良品の適切な管理にも役立ちます。
導入を検討する際は、「処理する樹脂の種類や形状」、「処理量」、「必要な粒度性」などを確認し、自社の用途に合った機種を選びましょう。
ただし粉砕機単体で完結しないケースも多く
・乾燥機(水分除去)
・金属検出機・磁選機(異物除去)
・ふるい機・風力選別機(粒度均一化)
・集塵機(粉塵対策)
・輸送装置(搬送の自動化)
といった周辺設備との組み合わせが必要になる場合があります。
選定時は、処理材料の種類・形状、処理量(kg/h)、粉砕後の粒度、発熱対策、刃の交換コストなどを踏まえて検討することが推奨されます。
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