マシニングセンタの種類|立形・横形・5軸の違いと特徴を徹底解説
目次
マシニングセンタと一口に言っても、いくつかの種類が存在します。一見すると見た目では違いが分かりにくいものもあれば、構造自体が大きく異なるものもあります。「自動で金属を削る機械でしょ?」とふわっとはイメージできるけれど、はっきりとは分からない。
そんな方も多いかもしれません。
本記事では、マシニングセンタの代表的な種類とその違いについて、わかりやすく解説します。この記事を読むことで、「どんな加工に、どのマシニングセンタを選べばよいのか」 が具体的にイメージできるようになります。
そもそもマシニングセンタとは?
マシニングセンタとは、工具を自動で交換しながら、複数の加工を1台でこなせる工作機械です。
通常、金属や樹脂を削る加工には、フライス盤・旋盤など用途ごとに異なる機械が必要です。しかしマシニングセンタなら、フライス加工を中心に複数の加工を1台で完結させることができます。これにより、次のようなメリットが生まれます。
作業効率の向上:段取り替えや機械間の移動が不要になる
人手の削減:自動工具交換により、省人化・自動化が進めやすい
加工精度の安定:ワークを固定したまま複数加工できるため、位置ズレが起きにくい
マシニングセンタの主な種類
立形マシニングセンタ
刃物が垂直方向(縦)に配置された工作機械であり、主に金属部品の切削加工に用いられます。
構造としては、上から下に向かって回転する刃物でワークを加工します。
例えば、自転車やバイクのブレーキディスクの穴加工や、電子機器のアルミプレートにおけるネジ穴・溝加工など、私たちの身近な製品にも広く使われています。
特に、ブラケットやプレート類など、穴あけや溝加工が必要な部品では立形マシニングセンタが多く用いられます。
一方で、自動車部品におけるシャフトやギアのような回転体や量産部品については、旋盤や専用機、さらに長時間の連続稼働や自動化に適した横形マシニングセンタなどが使われることが一般的です。
横型マシニングセンタ
横形マシニングセンタとは、刃物が水平方向に配置された工作機械です。
ワークの側面から加工を行う構造となっており、切りくずが自然に下に落ちるため、連続加工や量産に適しているのが特徴です。
具体的には、自動車のエンジン部品やトランスミッションケースの製造に用いられます。
これらの部品は複数の面に対して高い位置精度での加工が求められ、かつ量産を前提とした長時間の連続運転が必要となります。
そのため、切りくず排出性に優れ、パレットチェンジャー(加工用のワークを載せたパレットを自動で交換する装置)などによる自動化との親和性が高い横形マシニングセンタが、最適な選択となります。
5軸マシニングセンタ
5軸マシニングセンタとは、通常の3軸(X・Y・Z)に加えて回転軸(A軸・B軸)を備えた工作機械です。工具やワークの角度を自在に変えながら加工できるため、従来は複数回の段取り替えが必要だった加工を、1回の段取りで完結させることができます。また、5軸には同時に動かす「同時5軸制御」と、角度を固定して加工する「割出し加工」があります。
特に威力を発揮するのが、アンダーカットや裏側形状など複雑な形状の加工です。立形・横形では工具の進入方向に制限があり、何度もワークの向きを変える必要がありますが、5軸なら工具を傾けてアプローチできるため、複雑形状でも一体加工が可能です。
どんな場合にマシニングセンタが向いているか
複雑な曲面形状を加工したい場合
3軸では工具が届かなかったり、最適な角度で当てられないといった制約があります。5軸であれば工具・ワークの角度を自在に変えられるため、複雑な曲面形状でも効率よく、精度高く加工することが可能です。
工程数を減らしたい場合
従来は複数の工程に分けて行っていた加工を、1回の段取りで完結できます。段取り替えの手間が省けるだけでなく、生産性の大幅な向上にもつながります。
高い位置精度が求められる場合
段取り替えのたびにワークを付け直すと、わずかな位置ズレが生じやすくなります。5軸であればワークを固定したまま複数面を加工できるため、ズレの原因を根本から取り除くことができます。
その他のマシニングセンタ
本記事では、基本となる立形・横形・5軸マシニングセンタについて解説しましたが、実際の現場では用途に応じてさまざまな種類のマシニングセンタが使用されています。
門型マシニングセンタ(ガントリー)
→ 大型ワークや金型加工に適した高剛性タイプ複合加工機(ミルターン)
→ 旋盤とマシニングセンタを組み合わせた一体型設備高速マシニングセンタ
→ アルミや精密部品の高速・高品位加工に特化高精度マシニングセンタ
→ ミクロン単位の精度が求められる精密部品向け小型マシニングセンタ
→ 小物部品や試作加工に適したコンパクトタイプ
どうやって選べばよいのか
選定はこの3つで決まる
加工方法の選定は、基本的に以下の3つで決まります。
① 形状
② 精度
③ 数量
― 立形マシニングセンタ(3軸)を選定する実務の考え方 ―
例えば、以下のような部品を製造するとします。
外径:φ300mm
中央穴:φ100mm
追加加工:ボルト穴(複数)、溝加工
精度:±0.02〜0.05程度(一般精度)
→立形マシニングセンタ(3軸)
穴あけ・溝・ポケット加工などを1回の段取りでまとめて加工可能です。
位置精度が出しやすい、段取り回数を削減できる。
精度はメーカーの仕様書を確認する必要があります。
まとめ
マシニングセンタには、用途や加工内容に応じてさまざまな種類があります。
立形マシニングセンタは、穴あけや溝加工など汎用性の高い加工に適した基本タイプ。横形マシニングセンタは、切りくずの排出性に優れ、自動車部品のような量産・連続加工に強みを持ちます。そして5軸マシニングセンタは、複雑な曲面形状や高精度加工を1回の段取りで実現できる高機能タイプです。
選び方の基本は「形状・精度・数量」の3つ。加工したい部品の形や求められる精度、生産量をもとに最適な機種を選ぶことが、効率的でコストパフォーマンスの高いものづくりへの近道となります。
本記事が、マシニングセンタ選定の第一歩として少しでもお役に立てれば幸いです。
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